2012年11月21日

虐待通告について

 子どもの虐待について、「虐待を受けたと思われる児童」を発見した者は、児童相談所等に通告しなければならないとされています。
 これは、特別な職種にある者に課せられる義務ではなく、国民一般に課せられた義務です。

 児童虐待防止法制定時には、「虐待を受けた児童」を発見した者は通告しなければならないとされていたために、虐待といえるか否か自信がない場合に、通告を躊躇される案件が多々見られたことから、「受けたと思われる」というふうに、疑いがあれば通告すべきと改正されました。

 その後、虐待通告は急増の一途をたどりました。

 しかしながら、報道される虐待死のケースなどでは、「そういえば、真冬の寒い夜にベランダに締め出されて泣いていた」とか、「真冬でも下着だけで過ごしていた」といったことを、マイクに向かって語られる目撃証言が流れていて、がっかりさせられます。
 なぜ通告しなかったのだろうかと。

 私は、子ども虐待ホットライン広島にかかわり、通告相談を受けて、多数のケースについて児童相談所への通告をしてきました。
 そこで、わかったことがあります。
 それは、通告したケースの過半数は、既に児童相談所においても把握されているケースだったということです。
 そのため、私が通告した内容が、何時のできごとであるのかという点を重視して質問されます。
 すでに把握しているケースが、深刻化しているか否かを気にされているのです。
 この点からもわかることですが、通告というのは、情報提供という意味合いが強く、一回かぎりのものではなく、日々変化(特に深刻化)している情報を何度でも届ける行為であるということができると思います。

 私もそうでしたが、通告というと、非常に言葉として重く、また、一度すれば終わりというイメージを持たれがちです。
 このイメージは、変えていく必要があると思います。
posted by habataki at 00:00| 子ども

2012年11月09日

親権の一時停止制度について

 民法が改正され、本年(平成24年)4月1日から、親権の一時停止制度が創設されました。
 
 親権の一時停止制度とは、父又は母による親権の行使が困難であったり、不適当であり、子どもの利益を害するときに、2年を超えない範囲で、親権の停止をすることができるという制度です。
 子ども本人からの申立も可能とされています。

 この制度は、次のようなケースを想定して創設されました。
 1つは、子どもが、病気や怪我をして、手術をすればほぼ間違いなく助かるのに、親が宗教上の理由などで、手術に同意しない場合が考えられます。
 他にも、子どもに障害があり、障害年金を受給しているが、親が子どもの養育を放棄して、パチンコなどに障害年金を使用しているといった虐待ケースにも利用できそうです。

 従前は、親権喪失宣告といって、完全に親権を失わせる制度しかなく、非常にハードルが高かったため、柔軟な対応ができませんでした。
 親権の一時停止制度ができたことで、子どもを救えなかったケースへの対応が可能になったのでないかと思います。
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2012年11月02日

躾(しつけ)と体罰について

 子どもへの暴力が問題となるケースで、その暴力をふるっている親が「これが、うちの躾(しつけ)のやり方だ。自分も悪いことをしたときには、叩かれて、躾(しつけ)られたんだ。」と言って、体罰を手段とする躾(しつけ)を肯定することがよくあります。

 このような親は、暴力を肯定する考え方の持ち主であるという評価をされても仕方がないのではないでしょうか?
 私は、考え方として、体罰は、暴力であって、これを肯定すべきではないと思っています。

 体罰の問題点については、エンパワメントセンターを主宰されている森田ゆりさんが、的を射た形で、非常にわかりやすく整理されています。
 私も、たくさんのケースにかかわる中で、まさに、その通りだとうなずけるものです。
 以下に引用します。(森田ゆり『子どもと暴力』(岩波書店より))

1.体罰はしばしばそれをしている大人の感情のはけ口であることが多い。
2.体罰は、子どもの恐怖感を与えることで子どもの言動をコントロールする方法である。
3.体罰は即効性があるので、それを使っていると、他のしつけの方法がわからなくなってしまう。
4.体罰はしばしばエスカレートする。
5.体罰はそれを見ているほかの子どもに深い心理的ダメージを与えている。
6.体罰はときには取り返しのつかない事故を引き起こす。

 子どもが虐待によって命を落とす典型的なケースでは、まさに即効性があることから、体罰を使ったが、なかなか子どもが言うことを聞かずに反抗的な態度を示したと感じて、我を忘れるほどに暴力をエスカレートさせてしまった結果、子どもが命を落としたということが多いのです。
 やはり躾(しつけ)のためであっても体罰は否定すべきだと思います。
posted by habataki at 00:00| 子ども