2013年01月23日

相続:特別受益について(その1)

 共同相続人の中で、亡くなった被相続人から特に贈与を受けていても、単純に民法に定められた相続分で分割したのでは不公平なので、民法は、共同相続人の中に、亡くなった方(被相続人)から遺言によって財産を与えられた者、あるいは被相続人の生前に婚姻や養子縁組のために贈与を受けた者、生活の基礎として役立つようなものの贈与を受けた者などについて、贈与を受けた価額を遺産分割の際に考慮に入れて相続分の算出をするとしています(903条1項)。
 具体的には、どのようにして計算上考慮されるのでしょうか。

 例えば、1000万円の財産を持っていたAさんが死亡して、妻のBと子のCが相続人であるという場合、特別受益など考慮しないとすると、相続分は妻が2分の1、子が2分の1ですから、Bが500万円、Cが500万円を取得することになります。
 このようなケースで、CがAの生前にAから200万円の贈与を受けていたとするとどうなるでしょうか。

 この200万円は特別受益といえますから、これを計算上相続財産に加えて(これを持ち戻し計算といいます。)、相続分で分割することになります。
 つまり、1000万円に200万円を加算した1200万円を2分して、Bが600万円を取得し、Cは、計算上600万円を取得することになりますが、現実にはこの600万円に生前贈与を受けた200万円が含まれていますから、相続時点ではこれを差し引いた400万円を取得することになります。
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2013年01月15日

相続:寄与分について(その4)

 寄与分に関する話題が続いています。
 今回は、共働き夫婦において認められる財産給付型といわれる寄与分についてお話しします。

 例えば、もと中学校で教職を務めた妻が、退職金を持参して、同じく中学校教諭の夫と婚姻したが、夫が病気で休職したため、自ら就職して働き続け、その収入等によって住宅(土地・建物)を購入して、夫名義にしたところ、その後に夫が亡くなったというケースで、妻の寄与分を遺産の82.3%と認めたという裁判例があります(和歌山の家庭裁判所)。
 この裁判例のように、共働きの夫婦が双方の収入を併せて財産を購入したというケースでは、寄与分を認めるべきだといわれています。
 これは、形式的には、一方の単独名義の財産とされているが、実質的には、双方の収入によって取得したものであり、本来共有名義とされるべきもの(潜在的共有といわれます)なので、実質的な持分割合分を寄与分として考慮すべきだとされているのだと思います。

 今回で寄与分については終了します。次回は、別の話題にしたいと思います。
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2013年01月11日

相続:寄与分について(その3)

 前回は、亡くなった方(被相続人)の事業を手伝った(労務の提供をした)というタイプの寄与分について、お話しました。
 今回は、相続人が病気療養中の被相続人の介護に従事した場合について、お話します。

 例えば妻が夫に対して、あるいは子が親に対して介護したという場合などですが、いずれにしても、通常の寄与を超える特別の貢献であることが必要です。
 夫婦相互間には協力して助け合う義務がありますし、子も親を扶養する義務があるので、通常の介護では寄与分として認められないのです。
 また、その介護によって、職業として看護をしてくれる人に対して報酬等の看護費用を支払わなくて済んだといったように、相続財産の維持形成に寄与したことが必要とされます。

 このような形で、寄与分が認められた具体的な事例としては、4人の子のうちの1人が、重い認知症の父(被相続人)を10年間に渡って付き添って療養看護したというケースがあります。
 裁判例では、職業付添人の一般的な日当に付き添った期間の日数を乗じて算出された額の6割を寄与分として認めた例があります。
 6割とされたのは、完全に付きっきりだったわけではなく、他の家事労働等をする余裕もあったことが考慮されたようです。

 このようなケースでは、医師の診断書によって付添い看護の必要性を立証し、カルテや入通院証明書等によって入通院期間の立証をすることになります。
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